スーダン紛争から1年:未だ800万人以上が国内外に避難、日に日に厳しさを増す人道危機

 2023年4月15日にスーダンの各地域で戦闘が発生してから1年が経ちました。いまだに武力衝突は続き、800万人以上が国内外に避難を余儀なくされ(OCHA)、数万人が死傷しています。また、スーダン国内の医療施設の80%以上が機能不全の状態に陥っており、2,500万人以上が深刻な食料危機に直面しています。家族が亡くなったり行方が分からなかったりという状況は、人びとの心理面での負担の増加にもつながっています。「忘れられた紛争」ともいわれるスーダンにおける人道危機は、悪化の一途をたどるばかりです。

 紛争の影響を受けた地域へのアクセスが限られる中、スーダン赤新月社は、人道支援の最前線で、人びとが保護と支援を受けられるよう、スーダン全土で紛争勃発当初から活動を続けています

画像 スーダン赤新月社には18の支部があり、各支部が危機に対応している (引用:IFRC)

「人生で最もつらい1年」の中、支援に携わるワジダンさん

 スーダン赤新月社のボランティアで看護師のワジダンさんも、現在スーダン国内の避難民キャンプで子どものケアや避難民への食事の配付などに携わっています。

 ワジダンさんはこの1年の間にスーダンで何百万人もの人びとが体験した恐ろしい状況を振り返り、こう話しました。「この1年間は、私がスーダンの国民として、そしてボランティアとして生きた人生で最もつらい1年でした。爆弾の破片でひどい姿になった人びとの避難の様子や、娘を失った父親の話、子どもを失った母親の話、家族全員を失った両親の話など、多くのつらい出来事に直面しました」

 非常に厳しい状況が続く中、スーダン赤新月社の8,700人以上のボランティアが、この人道危機に対応しています。

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避難民キャンプで赤ちゃんをあやすワジダンさん©ICRC

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避難民キャンプで避難民の食事を準備するワジダンさん©ICRC

多くのボランティアが携わり幅広い活動を続ける赤十字

スーダン赤新月社は、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)、そして各国赤十字社と協力して、ボランティアを中心に、紛争の影響を受けている人びとに幅広い活動を提供しています(下記、2024年1月までの赤十字全体の活動実績)。

保健医療

308,977人に応急手当を提供

188,906人の国内避難民に基礎保健を提供

(その他、スーダン赤新月社が巡回診療とクリニックにおける診療を可能な限り継続)

こころのケア

161,736人にこころのケアを提供

食料・水などの提供

1,809,681人に食料を提供

1,731,114人に必要な生活用品を提供

872,443人に飲料水ペットボトルを提供

避難所の提供

136,676人の避難民に一次避難所を提供

水・衛生支援

512,800人の飲料水へのアクセスが改善

189,867人に衛生啓発活動を実施

・5病院の給水システムを改善

保護活動

40,983人が電話で家族との連絡を回復

166人のボランティアが尊厳ある埋葬について研修を受講

380人の子どもが安全な経路を使って避難

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避難民キャンプで5,000家族に食料を提供©SRCS

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北ダルフールの病院前を掃除し衛生環境を整備するスーダン赤新月社ボランティア©SRCS

また、赤十字は紛争に関与する当事者に対し、国際人道法の遵守を訴え続けています。絶え間ない紛争が続き広範囲にわたり治安が悪化しているため、迅速に支援を提供することが極めて困難な状態が続いており、2024年4月にはスーダン赤新月社のボランティア1名が活動中に命を落とし、8名が負傷しました。

国際人道法が遵守され、人道支援を行う団体や個人が安全に支援を届けられる状況となるよう訴え続けながら、赤十字は最前線で人びとに支援を届けます。

日本赤十字社は、このスーダン人道危機に対応するべく、連盟の緊急救援アピール及びスーダンからの避難民を受け入れる周辺国のアピールに対し、これまで2,000万円の資金援助を、また、ICRCに対して、合計1,100万円の資金援助を実施してきました。

引き続き、スーダンにおける人道危機にもご関心をお寄せいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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